この記事の結論
- 天然皮革の代表格は牛革、日本国内でほぼ自給自足できるのが豚革、しなやかさが際立つのが山羊革
- 合成皮革(合皮)は本革に似せた人工素材で、価格は安いが経年変化がなく耐久年数も本革より短くなりやすい
- 見分け方の手がかりは「毛穴の有無」「重さ・弾力・断面」「匂いの違い」「水の弾き方」の4点
- 入門素材の基本は牛革(特にヌメ革)、豚革は裏地や小物のアクセントとして取り入れやすい
なめし方法の違いを理解したあとに気になるのが、「そもそもこの革は何の動物の革なのか」「本革と合皮はどう見分けるのか」という疑問です。
革材料店の商品ページには「牛革」「豚革」「合皮」といった表記が並んでいますが、それぞれの違いを知らないまま選んでしまうと、思っていたのと違う手触りや強度の作品になってしまうこともあります。
この記事では、レザークラフトでよく使われる動物種による革の違いと、本革・合皮の見分け方、初心者が選ぶときの目安を整理しました。
レザークラフトで使われる主な動物種、それぞれの特徴
牛革、レザークラフトの主役
牛革は、財布やバッグなど革製品全般で最も多く使われている素材で、レザークラフトの材料店でも品揃えの中心になっています。
繊維が詰まっていて丈夫なため、財布やベルトのように強度が求められる作品に向いているのが特徴です。
なめし方法によって性質が大きく変わる点は革の種類まとめ、初心者が知っておきたいなめし方法と特徴で解説した通りで、牛革はタンニンなめし・クロムなめしのどちらでも幅広く流通しています。
豚革、軽さと通気性が武器の国産素材
豚革は、薄手で軽く、表面に3つ1組の小さな毛穴が並んでいるのが見た目の特徴です。
通気性がよく、財布の内側や靴の裏地など、直接肌に触れる部分の素材としてもよく使われています。
実は豚革は、国内でほぼ自給自足できる数少ない天然皮革で、その多くが国内の産地で生産されている、日本のものづくりと縁の深い素材でもあります。
薄くて軽いため、財布やカードケースの内側の裏革として、表側の牛革やヌメ革と組み合わせて使う作品によく選ばれます。
山羊革、しなやかさとシボ模様が魅力
山羊革(ゴートスキン)は、表面に自然な凹凸模様(シボ)が出ているのが特徴で、しなやかで丈夫な革として知られています。
生後半年以内の仔山羊の革は「キッドスキン」と呼ばれ、より薄く柔らかい高級素材として扱われます。
牛革に比べると流通量は少なく価格も上がりやすいため、レザークラフト材料店では小物用のはぎれサイズで見かけることが多い素材です。

合成皮革(合皮)とは、本革と何が違うのか
合皮の作られ方
合成皮革(合皮)は、布地の表面に合成樹脂(ポリウレタンなど)を塗布して、本革に似た風合いを作り出した人工素材です。
動物の皮を一切使わない完全な人工素材である点が、天然皮革との根本的な違いになります。
表面に型押しで革のような凹凸模様を再現しているため、遠目には本革と見分けがつきにくい製品も少なくありません。
本革と合皮、それぞれのメリット・デメリット
合皮の最大のメリットは、価格の安さと品質の均一さです。
天然皮革のような個体差(傷やシワ)がなく、同じ模様・同じ厚みの素材を安定して仕入れられます。
一方で、経年変化を楽しめない、表面のコーティングが数年で加水分解しひび割れる、コバ処理で切り口をきれいに磨き上げられないといった弱点もあります。
レザークラフトの醍醐味である「経年変化」や「コバの美しさ」を楽しみたい場合は、天然皮革の方が向いていると言えます。
本革か合皮か、見分け方のポイント
毛穴の有無を見る
革を明るい場所でじっくり見ると、天然皮革には動物の毛穴の跡が不規則に散らばっているのが分かります。
合皮は型押しで模様をつけているため、同じ柄が規則的に繰り返されているだけで、本物の毛穴のような不規則さがありません。
重さ・弾力・断面で比べる
天然皮革は繊維が詰まっている分、同じ大きさの合皮に比べてずっしりとした重さと弾力を感じられます。
断面(切り口)を見ると分かりやすく、天然皮革は繊維がぎっしり詰まった断面になりますが、合皮は布の織り目の上に樹脂の層がのっているだけの断面になります。

匂いの違いで判断する
天然皮革には、なめし加工に由来する独特の革の匂いがあります。
この匂いは購入直後ほど強く感じられ、しばらく置いておくと落ち着いていくことが多く、詳しくは革の保管方法を扱った記事でも触れています。
一方、合皮は表面のコーティングに使われている合成樹脂由来の、プラスチックやビニールに近い匂いがすることが多く、革特有の匂いとは明らかに違います。
水を一滴垂らして試す
目立たない部分に水を1滴垂らしてみるのも、分かりやすい見分け方の1つです。
天然皮革は水を吸い込んでシミのように色が濃く変わるのに対し、合皮は表面のポリウレタンコーティングが水を弾き、水滴が玉のように表面に残ります。

ただし、この方法は革にシミを残すリスクがあるため、購入前の店頭では試せません。
手元に届いた革の素材を確認したいときなど、目立たない端の部分に限定して試すようにしましょう。
材料店で購入する場合は、商品説明に「本革」「合成皮革」の表記が明記されているため、そこまで神経質に見分ける必要はありませんが、フリマサイトなどで中古の革を探すときはこれらの見分け方が役立ちます。
「合皮でもレザークラフトはできる?」と聞かれることがありますが、答えは可能です。
ただしコバ処理やヌメ革ならではの経年変化は楽しめないため、練習用の安価な素材として割り切って使うのがおすすめです。
床革(とこがわ)とは、本革の中でもさらに安価な選択肢
本革の中にも、価格に幅があることをご存知でしょうか。
革は、動物の皮を薄くスライスして層に分けることがあり、表面のツヤのある層(銀面)を含む部分は「上革(表革)」、その下の層は「床革(とこがわ)」と呼ばれます。
床革は銀面がなく繊維がやや粗いため、上革に比べると耐久性や見た目の高級感では劣りますが、その分価格が抑えられているのが特徴です。
スエードは革の床面側を起毛させたもので、床革を使ったものも、銀付き革の裏面を起毛させたものもあります。
床革を起毛させたものは、区別して「ベロア(スプリットスエード)」と呼ばれることもあります。

なお、銀面(表面)をあえて起毛させたものは「ヌバック」と呼ばれ、床面を起毛させるスエードとは別の素材として区別されています。
床革は本革である以上、合皮とは違って経年変化もある程度楽しめるため、「本革を試したいけれど価格を抑えたい」という初心者の練習用素材としても選択肢になります。
初心者はどれを選ぶべきか、作品別の目安
ここまでの内容を、作品や目的別の選び方として早見表にまとめました。
| 目的・作品 | おすすめの素材 | 理由 |
|---|---|---|
| 初めての練習・コバ処理の練習 | 牛革(タンニンなめしのヌメ革) | コバ処理剤がなじみやすく、経年変化も楽しめる |
| 財布・カードケースの内側の裏革 | 豚革 | 薄くて軽く、通気性がよい |
| 柔らかい質感を活かした小物 | 山羊革 | しなやかで自然なシボ模様が魅力 |
| とにかく安く数をこなす練習 | 合成皮革(合皮) | 品質が均一で価格が安い、失敗を気にせず使える |
迷ったら、最初の数作品は牛革(ヌメ革)で経年変化とコバ処理の感覚をつかみ、慣れてきたら豚革や山羊革を部分的に組み合わせてみる、という進め方がおすすめです。
まとめ
動物種による革の違いを知っておくと、材料店の商品ページを見たときに、その革がどんな性質を持っているのかイメージしやすくなります。
本革と合皮の違いも、毛穴の有無、重さと断面、匂い、水の弾き方という4つの手がかりを覚えておけば、大きく迷うことはありません。
まずは入手しやすい牛革のヌメ革で基本を身につけ、作品や用途に応じて他の素材も試してみてください。


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