この記事の結論
- 菱目打ちは、手縫いのための穴を等間隔にあける道具で、この穴の均一さが縫い目の美しさを決める
- 基本の手順は「ゴム板の上に革を置く→垂直に構える→木槌で数回叩く」の3ステップ
- 穴が斜めにずれる失敗は、菱目打ちを傾けたまま叩いていることが主な原因
- 最初は2mmピッチより4mm前後のピッチを選ぶと、力加減の感覚をつかみやすい
レザークラフトの作品作りで、ほぼすべての工程に登場するのが菱目打ちによる穴あけです。
この記事では、初めて菱目打ちを使う方に向けて、基本の使い方と、初心者がつまずきやすいポイントをまとめました。
なお、菱目打ちそのものの選び方や、他にどんな道具が必要かについては、レザークラフトに必要な道具一覧、最初に揃えたい基本セットもあわせてご覧ください。
菱目打ちとは何か、なぜ必要なのか

菱目打ちとは、先端がひし形になった刃が並んだ道具で、革に手縫い用の穴を等間隔にあけるために使います。
手縫いは、この菱目打ちであけた穴に針を通して糸を交差させていく縫い方(サドルステッチ)が基本になります。
もし穴の間隔がバラバラだったり、深さが不揃いだったりすると、糸を通す位置もずれてしまい、縫い目の美しさそのものが崩れてしまいます。
つまり菱目打ちの精度は、作品の見た目を大きく左右する、地味だけれど重要な工程です。
基本の使い方
ゴム板・木槌の準備

まず、机や床を傷つけないよう、ゴム板の上に革を置きます。
ゴム板がクッションになることで、菱目打ちの刃先が貫通したときの衝撃を吸収し、道具の刃こぼれも防いでくれます。
木槌は、金属製のハンマーに比べて道具を傷めにくいため、レザークラフトでは定番の組み合わせです。
打ち始めの位置合わせ、打ち方のコツ

穴あけの基本は「ゴム板の上に革を置く→菱目打ちを垂直に構える→木槌で数回叩く」というシンプルな3ステップです。
最初の1穴目は特に慎重に位置を合わせ、革の端から縫い代分(3〜5mm程度)を空けて打ち始めます。
2穴目以降は、菱目打ちの一番端の歯を、前に開けた最後の穴に差し込むようにして進めると、ピッチが均一に揃いやすくなります。
叩く際は、一気に力を入れず、軽く数回に分けて徐々に貫通させる方が、狙った位置からずれにくく安全です。
木槌を振り下ろす力加減やリズムは、文章より映像で見たほうが直感的につかめます。参考動画: 【レザークラフト 基本編】菱目打ちの使い方(ネトラボートch)
初心者がつまずきやすい失敗と対処
穴がまっすぐ揃わない
穴が一直線に揃わず、ジグザグになってしまう失敗の多くは、菱目打ちを傾けたまま叩いていることが原因です。
叩く前に、正面と横の両方から菱目打ちが革に対して垂直に立っているか確認する癖をつけると、ずれが大きく減ります。
ステッチンググルーバーで先にガイドとなる溝を引いておくと、菱目打ちを置く位置の目安になり、まっすぐ進めやすくなります。
力加減で革が傷む
力を入れすぎると、革の裏側の穴が必要以上に広がったり、繊維がめくれたりすることがあります。
逆に力が弱すぎると、刃先が途中までしか貫通せず、無理に引き抜こうとして穴の形が崩れてしまいます。
目安としては、革の厚みにもよりますが「軽めに3〜4回叩いて確実に貫通させる」くらいの力加減から始め、使う革の厚みに合わせて微調整していくのがおすすめです。
菱目打ちのサイズ(ピッチ)選び

菱目打ちには、穴と穴の間隔(ピッチ)ごとに種類があり、一般的には2mm・3mm・4mmあたりが多く流通しています。
ピッチが狭いほど縫い目が細かく上品な印象になりますが、その分1つの作品にかかる穴あけの回数が増え、力加減もシビアになります。
逆にピッチが広いと、1回の穴あけの間隔にゆとりが生まれ、垂直を保つ感覚をつかみやすくなります。
最初の1本を選ぶなら、4mm前後のピッチがおすすめです。
穴あけの回数が少なく済み、垂直を保つ練習に集中しやすいため、道具の扱いに慣れてから細かいピッチに挑戦する順番が上達への近道です。
菱目打ちの価格帯・選び方
菱目打ちには、歯が1本だけの「1本目打ち」と、複数の歯が並んだ「2本目打ち」「4本目打ち」などがあります。
価格帯の目安は、単品タイプで1本500〜1,500円程度、初心者向けの2mm・3mm・4mmピッチが揃った4本セットで3,000〜6,000円程度です。
直線部分は歯の多い4本目打ちでまとめて打つと作業が早く、カーブ部分は1本目打ちで1穴ずつ位置を調整しながら打つ、という使い分けが基本になります。
最初の1本を選ぶなら、直線部分に使える2〜4本目打ちタイプと、カーブに対応できる1本目打ちの、最低2種類があると多くの作品に対応できます。
厚い革を打つときに起きやすい失敗
ベルトや財布の本体のような厚み2.5mmを超える革に、力任せに菱目打ちを打ち込むと、歯先が欠けてしまうことがあります。
一度欠けた歯は元に戻らず、それ以降の穴あけで毎回同じ位置に不揃いな跡が残るようになってしまいます。
厚い革を打つときは、一気に貫通させようとせず、先に丸ギリで浅く目印の穴を開けてから菱目打ちを当てると、少ない力で真っ直ぐ貫通させやすくなります。
ゴム板が硬くなってきた場合も、菱目打ちの刃が傷む原因になるため、跡がクレーター状に深くなってきたら新しいゴム板に交換するのがおすすめです。
ピッチの違う菱目打ちを組み合わせるときの注意
作品によっては、直線部分は4本目打ち、カーブ部分は1本目打ちというように、複数の菱目打ちを組み合わせて使うことがあります。
このとき注意したいのが、ピッチが変わる境目で穴の間隔が不揃いになりやすいことです。
直線部分を打ち終える前に、残りの長さが使う菱目打ちのピッチで割り切れるかどうかを一度計算しておくと、境目で帳尻を合わせるための不自然な間隔が生まれにくくなります。
割り切れない場合は、目立ちにくい角の部分で半歯分だけ間隔を調整すると、全体としては綺麗に見えます。
まとめ
菱目打ちは、垂直に構えて、焦らず数回に分けて叩くことを意識すれば、大きな失敗はぐっと減らせます。
最初のうちははぎれ革で練習してから本番の材料に取りかかると、安心して作業を進められます。
手縫いで縫っていく工程については、サドルステッチの基本で解説しています。




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