この記事の結論
- 「なめし」とは、生の皮を腐らない丈夫な「革」に変える加工工程のこと
- 代表的な方法は、経年変化を楽しめる「タンニンなめし(ヌメ革)」と、軽くて扱いやすい「クロムなめし」の2つ
- 手縫い・コバ処理を練習したい初心者には、コバ処理のしやすいタンニンなめしのヌメ革が向いている
- 作品の実用性を優先するなら、傷や水に強いクロムなめしの革も選択肢になる
革材料店のサイトを見ていると、「タンニンなめし」「クロムなめし」といった言葉が商品説明によく登場します。
この違いを知らないまま選んでしまうと、作りたい作品に合わない革を選んでしまうこともあります。
この記事では、革の種類を理解するための基本となる「なめし」について、代表的な2つの方法とその特徴を解説します。
なめしとは何か
動物の皮は、そのままにしておくと腐敗してしまいます。
この生の皮に薬剤を浸透させ、腐らず柔軟性のある丈夫な「革」に変える加工工程のことを「なめし」と呼びます。
なめしの方法によって、革の色・硬さ・経年変化の有無・水への強さなど、性質が大きく変わってきます。
レザークラフトで「革を選ぶ」というのは、実質的にはこの「なめし方法(と厚み)を選ぶ」ことに近いといえます。
代表的な2つのなめし方法

タンニンなめし(ヌメ革)
タンニンなめしは、植物由来のタンニン(渋)成分を使ってなめす、古くからある伝統的な製法です。
この製法でなめされた革は「ヌメ革」と呼ばれ、購入時は薄いベージュ色をしていますが、使うほど日光や手の脂の影響で色が濃く変化していくのが最大の特徴です。
コバ処理剤がなじみやすく、切り口を美しく磨き上げられることから、レザークラフトの入門素材として広く使われています。
一方で、水に弱く、濡れるとシミになりやすい点には注意が必要です。
クロムなめし
クロムなめしは、クロム塩を使ってなめす、現代の革製品の多くに使われている製法です。
タンニンなめしに比べて短期間でなめし加工ができ、軽くて柔らかく、水や熱にも比較的強いのが特徴です。
バッグや靴など、実用性が重視されるアイテムに多く使われますが、ヌメ革のような大きな経年変化は起こりにくく、コバもヌメ革ほどくっきりとは磨き上がりません。
初心者はどちらを選ぶべきか
これから手縫いやコバ処理の練習をしたい方には、タンニンなめしのヌメ革をおすすめします。
コバ処理剤がなじみやすいため、練習した分だけ仕上がりの変化を実感しやすく、経年変化も楽しめます。
一方、水濡れの心配が少ないアイテム(普段使いのカードケースなど)を作りたい場合や、コバ処理よりも実用性を優先したい場合は、クロムなめしの革も選択肢になります。
迷ったら、最初の数作品はヌメ革で練習し、コバ処理や経年変化の感覚をつかんでから他のなめし方法を試すのがおすすめの進め方です。
入門用のキットの多くもヌメ革が使われていることが多く、情報も探しやすくなります。
なめし方法以外に見ておきたい、部位による違い

革を選ぶとき、なめし方法と同じくらい仕上がりに影響するのが「原皮のどの部位を使っているか」です。
牛の背中周り(せ)は繊維が詰まっていて丈夫な反面、脇腹周り(わき・はら)は伸びやすく、シワや虫刺され跡などのキズが入りやすい傾向があります。
専門店で「背中部分のみを使った革」が割高で売られているのは、この部位差による丈夫さと見た目の均一さが理由です。
初心者のうちは、部位を細かく選ぶよりも、価格が手頃なはぎれや半端革で練習しながら、革ごとの伸びやすさ・硬さの違いを手で感じてみるほうが実践的です。
なお、牛革・豚革・山羊革といった動物種による違いや、本革と合成皮革(合皮)の見分け方については、別の記事で扱う予定です。
価格帯の目安、デシ単位での販売について

革専門店では、革を「デシ(1デシ=10cm四方)」という単位で販売していることが多く、覚えておくと価格を比較しやすくなります。
目安として、入門用のタンニンなめし革(ヌメ革)は1デシあたり200〜400円程度、仕上げ加工が施されたブランド調のクロムなめし革は1デシ300〜500円程度で販売されていることが多いです。
ただし、これはあくまで大判での単価の目安です。
カット済みの小さいサイズは、大判をデシ単位で買うより割高になる傾向があるため、実際に購入するときは商品ページの単価も確認してみてください。
キーホルダー1個分(縦4cm×横8cm程度)は32平方センチ、デシ換算すると0.3〜0.5デシ程度で足りるため、革そのものの価格は数十円〜200円程度に収まるケースがほとんどです。
まとめ
なめし方法の違いを知っておくと、「なぜこの革は経年変化するのか」「なぜこの革は水に強いのか」といった性質を理解しながら革を選べるようになります。
初心者は、コバ処理のしやすいヌメ革から始めるのが練習の効率もよくおすすめです。
経年変化の楽しみ方とお手入れの基本については、ヌメ革とは?経年変化を楽しむ革の選び方とお手入れ方法で解説しています。



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