この記事の結論
- ブックカバーとスマホケースは、革を裁断して折る・貼るだけで形になる「平面パーツ中心」の作品で、財布のような立体的な組み立てより難易度が低い
- ブックカバーは1枚の革の両端を折り返してポケットを作るだけの構造なので、型紙がなくても寸法さえ測れば作れる
- スマホケースは機種ごとにサイズが違うため、実機やケースを採寸してから型紙を起こすのが失敗しないコツ
- どちらも接着剤だけで仕上げることもできるが、糸で縫うと耐久性と見た目の両方が上がる
簡単に作れる作品5選の記事では、キーホルダーやコースターのような小さな作品を紹介しました。
もう少し実用性のあるものを作ってみたいという方には、ブックカバーやスマホケースがおすすめです。
どちらも革を平らなまま加工していく「平面パーツ」中心の作品で、複雑な立体の組み立てが不要なため、財布より一歩手前の難易度で楽しめます。
この記事では、それぞれの作り方の手順と、初心者がつまずきやすいポイントを整理します。
ブックカバー・スマホケースが初心者向けと言われる理由
まずは、なぜこの2つの作品が「初心者向け」と言われるのか、財布との構造の違いと、用意する革のサイズ目安から確認していきます。
財布との構造の違い、なぜ平面パーツは作りやすいのか
ミニ財布・コインケースの記事で紹介したような立体作品は、複数のパーツを角度をつけて組み合わせるため、パーツ同士の寸法のズレがそのまま仕上がりの歪みにつながります。
一方、ブックカバーやスマホケースは、1枚(または2枚)の革を折る・重ねるだけで形になるものが多く、角の処理も少なめです。
組み立ての工程数が少ない分、1つ1つの作業に集中しやすく、縫い方や道具の使い方を練習する題材としても向いています。
用意する革のサイズ目安
ブックカバーは文庫本サイズであれば、縦16cm×横30cm程度の革が1枚あれば作れます。

ただし本のサイズは文庫だけでなく、新書やA5サイズのノート・手帳など様々なので、代表的なサイズごとの目安を表にまとめました。
| サイズ | 本の寸法目安(縦×横) | 革の寸法目安(縦×横) | 差し込み幅の目安(片側) |
|---|---|---|---|
| 文庫 | 148×105mm | 16cm×30cm | 3.5cm |
| 新書 | 182×103mm | 19.5cm×29cm | 3.5cm |
| A5(ノート・手帳) | 210×148mm | 22cm×41cm | 5cm |
本の厚みはページ数によって差があるため、これらの寸法はあくまで目安です。ここでは背表紙の想定厚みを15mmとして計算しているので、実際に手元の本を測ってから型紙に反映させてください。
スマホケースは機種によって差がありますが、一般的なサイズのスマートフォンであれば、縦18cm×横10cm程度の革が2枚(前面・背面で計約3.6デシ)あれば足ります。
はぎれ活用の記事で紹介したような余り革でも、同じ厚みのはぎれがこのサイズで2枚確保できれば十分まかなえることが多いです。
必要な道具・材料
作り方に入る前に、揃えておきたい道具と、折り曲げる作品ならではの革の厚みの目安を確認しておきましょう。
基本の道具
必要な道具は、道具一覧の記事で紹介した基本セットとほぼ同じです。
革包丁またはカッター、カッティングマット、菱目打ちと木槌、蝋引き糸と針、コバ処理剤があれば、この記事で紹介する2つの作品はどちらも作れます。
菱目のピッチは、菱目打ちの使い方の記事で紹介した4mm前後のものであれば、この記事の2作品にもそのまま使えます。
コバは角の部分が特にほつれや剥がれの起点になりやすいため、やすりがけの際は角を軽く丸めるように仕上げると長持ちします。
折り目を付ける工程では、ヘラの背や丸ギリの背のような角のない部分で折り筋をなぞっておくと、革の表面を傷つけずにまっすぐ折りやすくなります。

革の厚みの目安
ブックカバーやスマホケースのように、折り曲げる工程がある作品では、厚すぎる革だと折り目がうまくつかず、パーツ同士が浮いてしまいます。
本体には1.0〜1.5mm程度のやや薄めの革を、補強したい部分には厚みのある革を貼り重ねるのが基本の考え方です。
革の種類の記事やヌメ革の記事で紹介した革であれば、どちらもこの厚み帯のものが見つかります。
| パーツ | 厚みの目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 本体(折り曲げる部分) | 1.0〜1.5mm | 薄すぎず厚すぎず、折り目がつきやすい厚み |
| ポケット・カード入れ | 0.8〜1.2mm | 重ねて縫うため本体よりやや薄めが縫いやすい |
| 底面の補強(スマホケース) | 1.5〜2.0mm | 強度を出したい場合のみ貼り重ねる |
ブックカバーの作り方
ここからは、実際にブックカバーを作る手順を、採寸からコバ処理まで順番に見ていきます。
採寸とカット
まず、カバーをかけたい本の縦と横のサイズ、厚み(背表紙の幅)を測ります。
本体の革は、本の縦幅に少し余裕を持たせた高さ、横幅は「表紙+背表紙+裏表紙+両端の差し込み部分」を合計した長さでカットします。
差し込み部分(本の表紙を挟むポケット)は、片側あたり本の横幅の3分の1程度を目安にすると、しっかり挟み込めます。
ポケット(差し込み部分)の折り返しと接着
カットした革の両端を、本の表紙・裏表紙を挟めるように内側へ折り返します。
折り返した部分の端は、接着剤の記事で紹介した水性ボンドで軽く仮止めしておくと、縫うときに位置がずれません。
本を実際に差し込んでみて、きつすぎないか、逆にゆるすぎて抜け落ちないかをこの段階で確認しておきましょう。
縫い付けと仕上げ
仮止めができたら、菱目打ちの使い方の記事を参考に上下の折り返し部分に穴をあけ、サドルステッチの記事の要領で縫っていきます。
縫い終わったら、コバ(革の断面)をコバ処理の記事の手順でやすりがけ・磨きをして仕上げます。
等間隔の菱目に糸を通すサドルステッチは、まっすぐ揃ったステッチ模様そのものが革小物らしい見た目のアクセントになり、磨き上げたコバと合わせて接着だけの仕上げにはない完成度を出せます。
縫わずに接着剤だけで仕上げることも可能ですが、ブックカバーの差し込み部分は本を出し入れするたびに繰り返し負荷がかかるため、接着だけだと数ヶ月ほどで端から剥がれてくることがあります。
日常的に使うブックカバーには、接着はあくまで縫う前の仮止めとして使い、仕上げは縫い付けまで行うことをおすすめします。

スマホケースの作り方
続いてスマホケースです。機種ごとにサイズが異なるため、採寸の精度がブックカバー以上に仕上がりを左右します。
採寸(実機・ケースを測る)
スマホケースは、機種そのものか、今使っているケースの縦・横・厚みを実際に測るところから始めます。
実測サイズに対して、縦横それぞれ2〜3mmほど余裕を持たせるのが、きつすぎず出し入れしやすいサイズの目安です。
たとえば、実機の縦145mm×横70mmのスマートフォンなら、内寸は縦148mm×横73mm程度が目安になります。
この内寸に、縫い代と革が重なる分の厚み(革1.2mmを2枚重ねる縫い目部分なら2〜3mm程度)を外側に足した寸法で、型紙の外形サイズを決めます。
カメラ部分の出っ張りがある機種は、背面側の厚みを別に測っておくと、差し込んだときに引っかかりにくくなります。

カットと縫い合わせ
採寸したサイズをもとに、本体と、スマホを差し込む側の見返し(縁を折り返す部分)をカットします。
見返しを本体に貼り合わせてから、菱目打ちで穴をあけ、周囲を手縫いで仕上げます。
封筒のように上から差し込むだけの形なら、縫う辺は左右と底の3辺だけで済むので、初めてでも取り組みやすい工程です。
ファスナー・ホック・カードポケットのアレンジ
慣れてきたら、差し込み口を閉じるための小さなファスナーや、バネホックを取り入れるアレンジもできます。
バネホックを使う場合は、封筒型のまま差し込み口の中央にホックを打つ方法のほか、本体の背面から前面へかぶせるように革を伸ばした「かぶせ(フラップ)」を作り、そこにホックを付ける方法もよく使われます。
本体の内側や背面に、カードを1〜2枚差し込める薄いポケットを縫い付けておくと、実用性がぐっと上がります。

失敗しやすいポイントと対策
最後に、この2つの作品でよくある失敗と、その対策をまとめます。
サイズがきつすぎる、緩すぎる
スマホケースでもっとも多い失敗が、採寸した数字ぴったりで型紙を作ってしまい、実際は出し入れできないというケースです。
革は縫い代の分だけ内側が狭くなることも考え、余裕分を削りすぎないようにしましょう。
型紙の時点で本番の革を裁断せず、まずは厚紙や端切れで試作を作り、実機を入れて確認してから本番の革を裁断すると失敗を防げます。
折り返し部分にシワが入る
ブックカバーの差し込み部分は、折り返す前に折り目の位置に軽く筋を付けておくと、まっすぐきれいに折れます。
厚みのある革を使う場合は、折り返す部分だけヌメ革の記事で紹介したような柔らかい革を選ぶと、シワになりにくくなります。
費用・作業時間の目安
難易度に加えて、材料費と作業時間の目安も見ておくと、今の自分に合ったタイミングで取り組みやすくなります。
| 作品 | 材料費の目安 | 作業時間の目安 |
|---|---|---|
| ブックカバー | 1,000〜1,900円 | 1.5〜2.5時間 |
| スマホケース | 700〜1,500円 | 1.5〜2時間 |
どちらも1つの作品を仕上げるのに半日仕事とまではいかないため、休日の空き時間で1つ完成させやすい規模の作品です。
作品ごとの難易度・費用・作業時間をまとめて比較したい場合は、「難易度・工程数・必要な道具」作品別早見表と初心者向け診断チャートもあわせてご覧ください。
まとめ
ブックカバーとスマホケースは、どちらも平面パーツを中心に組み立てるため、財布のような立体作品より取り組みやすい作品です。
採寸をていねいに行い、本番の革を裁断する前に試作で確認することが、サイズ違いの失敗を防ぐ一番のポイントになります。
まずは端切れで小さめのカードケースサイズから試して感覚をつかみ、慣れてきたらアレンジを加えていくとよいでしょう。


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