この記事の結論
- レザークラフトの金具は、パーツを「繋ぐ」金具(Dカン・ナスカンなど)と、革を「留める」金具(マグネットホック・カシメなど)の2グループに分けて考えると選びやすい
- Dカンは開閉できない固定リング、ナスカンはフックで開閉できる金具、取り外す頻度があるかどうかで使い分ける
- マグネットホックは開閉が速く扱いやすい反面、磁力が強いタイプはほかの金属製品を引き寄せることがある
- 金具選びで一番大切なのはサイズ合わせ、繋ぐ金具は内径を革ひもの幅に、留める金具は足や軸の長さを革の合計厚みに合わせること、サイズ違いは緩み・破損の主な原因になる
バネホックの付け方の記事では、コインケースなどの留め具として使われる代表的な金具を扱いました。
ただ、レザークラフトで使う金具はバネホックだけではありません。
キーホルダーのDカンや、財布の蓋を留めるマグネットホックなど、作品によって選ぶべき金具は変わってきます。
この記事では、バネホック以外の代表的な金具の種類と、それぞれの選び方の目安を整理します。
「金具の種類が多くてどれを選べばいいかわからない」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
なぜ金具は「繋ぐ」系と「留める」系に分けて考えると選びやすいのか
レザークラフト専門店の金具コーナーには、見慣れない名前の金具がずらりと並んでいます。
種類だけを覚えようとすると混乱しやすいですが、「何のために使う金具か」という役割から考えると、意外とシンプルに整理できます。
「繋ぐ」金具と「留める」金具、役割の違い
Dカンやナスカンは、革ひもやストラップと本体を「繋ぐ」役割を持つ金具です。
一方、マグネットホックやカシメ、バネホックは、革と革を重ねて「留める」役割を持つ金具です。
作品を作る前に「この金具は繋ぎたいのか、留めたいのか」を最初に決めておくと、専門店の棚の前で迷う時間がぐっと減ります。
選び方の共通軸、サイズと素材(色・仕上げ)
どの金具を選ぶ場合も、確認したい軸は「サイズ」と「素材の色・仕上げ」の2つです。
サイズは、革ひもの幅や革の合計厚みに対して金具が対応しているかどうかで決まります。
素材は、真鍮の無地タイプが標準的ですが、シルバー仕上げやアンティーク調、ゴールドなど見た目のバリエーションも豊富にあります。
作品の他の部分に使う金具(縫い糸の色や革の色合い)とテイストを揃えておくと、全体の統一感が出やすくなります。
「繋ぐ」金具、Dカン・ナスカン・角カン・丸カンの違いと使い分け
ストラップやキーリングを本体に取り付けるときによく使われるのが、この4種類の金具です。

Dカンとナスカン、開閉できるかどうかの違い
Dカンは、名前のとおりアルファベットの「D」に近い形をした、開閉できない固定リングです。
革の縫い付け部分に挟み込んで固定するのが基本の使い方で、キーホルダーの折り返し部分などによく使われます。
一方、ナスカンは、片側にバネ付きのフックがついていて、レバーを押すと開閉できる金具です。
ポーチをバッグから取り外したり、キーホルダーを別のバッグに付け替えたりと、着脱の頻度が高い用途に向いています。
逆に言えば、常に取り付けたままにする部分にわざわざナスカンを使う必要はなく、シンプルなDカンで十分なことも多いです。
角カン・丸カンの役割、ストラップやキーホルダーでの使われ方
角カンは中桟のない単純な四角いリングで、バッグ本体側にストラップを取り付ける基点として縫い付けて使う固定リングです。
ベルトの長さ調整には、角カンではなく送りカン(移動カン)という中桟付きの別の金具を使うので、混同しないよう区別しておきましょう。
丸カンは円形のリングで、Dカンとナスカンの間をつなぐ中継パーツとして使われることが多く、単体で主役になるというより脇役として登場する場面が中心です。
価格帯の目安は、角カンが1個60〜190円程度、丸カンが1個30〜60円程度です。
キーホルダーの入門作品では、Dカンとキーリングだけで十分完成しますが、ナスカン付きのストラップに挑戦したくなったら、丸カンを挟んで可動域を持たせる作り方も検討してみてください。
サイズ選びの目安、内径と革ひもの幅の関係
Dカン・ナスカンのサイズは「内径」で表記されていることが多く、そこに通す革ひもやベルトの幅に合わせて選びます。

内径が狭すぎると革ひもがきつく擦れて傷みやすくなり、広すぎると金具がぐらついて安定しません。
革ひもの幅に対して1〜2mm程度の余裕を持たせた内径を選ぶと、動きがなめらかで擦れも少なくなる傾向があるとされています。
価格帯は、Dカンが1個あたり50〜150円程度、ナスカンはバネ機構がある分やや高めで150〜500円程度が中心的な相場です。
キーホルダー1個であれば、Dカンとキーリングだけの構成なら数百円で一式揃えられますが、ナスカン付きにする場合はもう少し予算を見ておくと安心です。
常につけっぱなしにする部分にはDカン、頻繁に取り外したい部分にはナスカンを選ぶのが基本の使い分けです。
角カン・丸カンは、それらをつなぐ補助パーツとして必要に応じて足していきましょう。
「留める」金具、マグネットホックとカシメの特徴
革と革を重ねて固定する「留める」金具には、バネホックのほかにもいくつか選択肢があります。
マグネットホックの仕組みと向いている作品
マグネットホックは、内部に磁石が仕込まれた2つのパーツを近づけるだけで留まる金具です。
バネホックのようにカチッと押し込む力がいらないため、片手でも開閉しやすいのが最大の利点です。
財布やがま口風の蓋の留め具、ペンケースの開閉部分など、開け閉めの回数が多い部分との相性がよい金具です。
一方で、磁力が強いタイプは、近くにある他の金属製品(クリップやピンなど)を引き寄せてしまうことがあります。
財布内に交通系ICカードなどを収納する設計にする場合は、念のためマグネットホックとカードの位置を少し離しておくと安心です。
カシメ(リベット)の仕組み、ハトメとの違い
カシメは、2つの金属パーツを革ごと挟み込み、打ち具で圧着して固定する金具です。
いったん圧着すると簡単には外れないため、開閉する留め具としてではなく、革のパーツ同士を恒久的に固定する用途で使われます。
ベルトの付け根や、ストラップの折り返し部分の補強によく使われる金具です。
似た見た目の金具に「ハトメ」がありますが、ハトメは中央に穴が貫通した金具で、紐を通す用途に使うという違いがあります。
見た目が似ているために売り場で迷いやすいので、購入前にパッケージの用途表記を確認しておくと失敗を防げます。

バネホック・マグネットホック・カシメ、開閉頻度で選ぶ目安
3つの金具は見た目も価格帯も近いため、どれを選べばいいか迷いやすいところです。
目安として、毎日何度も開閉する部分にはマグネットホックかバネホック、開閉せずそのまま固定しておきたい部分にはカシメを選ぶと考え方が整理しやすくなります。
マグネットホックとバネホックの違いは、開閉のしやすさと耐久性のバランスです。
マグネットホックは開閉が軽い分、長年使ううちに磁力がわずかに弱まっていくことがあると言われており、バネホックはやや力が必要な代わりに、機構自体の劣化は比較的緩やかな傾向があるとされています。
マグネットホックの価格帯は、1組単位の店頭購入なら100〜200円程度ですが、10組セットでまとめ買いすると1組あたりの単価は24〜40円程度まで下がります。
カシメは1組あたり20〜80円程度で、バネホック(30〜100円程度)と同程度かやや手頃な価格帯です。
マグネットホックは1組単位で買うとバネホックよりやや高めですが、セット買いなら単価は逆転します。
開閉のしやすさを優先するならマグネットホック、しっかりした留め心地を優先するならバネホック、固定して動かさない部分にはカシメを選ぶと迷いにくくなります。
用途に迷ったときは、まず作品を毎日どう使うか(開け閉めする頻度)をイメージしてみてください。
金具の取り付け、共通する基本の流れと注意点
金具の種類は違っても、取り付けの流れにはいくつか共通点があります。
必要な道具は、バネホックとほぼ共通
Dカン・角カンのような縫い付けタイプの金具は、菱目打ちと手縫いの道具があれば取り付けられます。
マグネットホックの主流である差し込み式(足折り曲げ式)は、革に2本のスリットを入れて足を通し、座金を当てて折り曲げるだけで取り付けられ、打ち具は基本的に不要です。

一方、カシメや、同じ打ち込み方式を採用したカシメ式のマグネットホックは、専用の打ち具・ハンマー・穴あけ用のポンチが必要で、これはバネホックの取り付けで使う道具とほぼ共通です。
すでにバネホック用の打ち具一式を持っている場合、金具本体だけ追加すれば、多くのタイプに対応できます。
ただし、金具のサイズやメーカーによって専用の打ち具が必要になる場合もあるため、購入前に対応する打ち具の型番を確認しておくと安心です。
取り付け前の仮止めが、失敗を防ぐ一番の近道
どの金具にも共通する失敗の原因が、位置決めをせずにいきなり本番の作業を始めてしまうことです。
Dカンのような縫い付けタイプは、金具を仮に通した状態で本当に開閉や可動に問題がないか確認してから、菱目打ちで穴をあけましょう。
マグネットホックの差し込み式は、折り曲げた足を起こせば比較的やり直しがきくため、位置がずれても調整しやすいのが利点です。
一方、カシメやカシメ式のマグネットホックは、一度圧着すると基本的にやり直しがきかないため、本番前にはぎれ革で1回試し打ちをしておくことをおすすめします。
金具は数十円〜数百円と単価が小さいため、失敗を恐れず、練習用に何個か余分に用意しておくのも安心につながります。
カシメやカシメ式のマグネットホックは、一度圧着すると金具も革も元に戻せません。
本番の作品に打つ前に、必ずはぎれ革で試し打ちをして、サイズと打ち具の相性を確認してから作業を始めてください。
金具選びでよくある失敗と対処
ここでは、金具選びの段階でつまずきやすいポイントを整理します。
サイズ違いで穴が緩い・きつい
革の厚みを測らずに金具を選んでしまい、足や軸の長さが合わないという失敗はよく起こります。
足が短すぎると革を貫通しきれず、長すぎると裏側で余った部分がうまく潰れません。
革を重ねる部分は、必ず実際に重ねた状態で厚みを測ってから、対応する金具のサイズを選ぶようにしましょう。
素材や色の組み合わせがちぐはぐになる
金具単体で見ると気に入っていたのに、完成した作品につけてみると浮いて見えるという失敗もよくあります。

特に、シルバー系の金具とゴールド系の金具を同じ作品に混ぜると、統一感がなくちぐはぐな印象になりやすい傾向があります。
1つの作品では、金具の素材・色を1系統にそろえておくと、失敗しにくく仕上がりも安定します。
迷ったときは、購入前に実際の金具を革のはぎれの上に乗せてみて、色味の相性を確認してから決めるのがおすすめです。
まとめ
レザークラフトの金具は、パーツを「繋ぐ」金具と、革を「留める」金具の2グループに分けて考えると、専門店の棚を前にしても迷いにくくなります。
どの金具を選ぶ場合も、サイズを合わせること(繋ぐ金具は内径を革ひもの幅に、留める金具は足の長さを革の合計厚みに)と、本番前に試し打ちをすることの2点を守れば、大きな失敗は防げます。
代表的な金具の特徴を、以下の早見表に整理しました。
| 金具 | 役割 | 開閉 | 価格帯の目安 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|---|
| Dカン | 繋ぐ | 不可(固定) | 50〜150円程度 | キーホルダーの折り返し、常時つけっぱなしの部分 |
| ナスカン | 繋ぐ | 可 | 150〜500円程度 | ポーチの取り外し、付け替えたいストラップ |
| 角カン | 繋ぐ | 不可 | 60〜190円程度 | 内径15mm前後、バッグ本体側にストラップを取り付ける基点 |
| 丸カン | 繋ぐ | 不可 | 30〜60円程度 | Dカンとナスカンをつなぐ中継パーツ |
| バネホック | 留める | 可 | 30〜100円程度 | コインケースの蓋、しっかりした留め心地が欲しい部分 |
| マグネットホック | 留める | 可 | 1組100〜200円程度(10組セットなら1組24〜40円程度) | 財布・ペンケースの蓋、片手で素早く開閉したい部分 |
| カシメ | 留める(固定) | 不可 | 20〜80円程度 | ベルトの付け根、ストラップの補強 |
まずはキーホルダーでDカンの扱いに慣れて、次のステップとしてミニ財布・コインケースでバネホックやマグネットホックに挑戦してみるのがおすすめです。
金具の購入先に迷ったときは、材料の購入先の記事も参考にしてみてください。


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